セルフケアは多くの場合、心身を整え、活力を増すことを目的におこないます。
極端な話、おこなった本人の感覚として何らかの効果が感じられればそれでよいわけです。
ところが、あやふやな自分の感覚を頼りにするのはどうも心許ないし、どうせ取り組むのであれば効能が保証されている内容を選びたい、と考えるのも人情だったりします。
そうしたニーズに応えるべく、昔から健康情報を扱う専門誌が何誌もあり、一般向けの書籍なども出版され続けています。今ではネットで流される情報も量質共に大変なことになっています。
セルフケアに興味はあるけれど、情報が多過ぎて何を取り組んだらよいのか分からない…と迷われる方もいらっしゃると思います。
私が提案したいのは、情報の多さに振り回される前に、セルフケアの効能の確かさを自分自身で保証できる技術、感覚を身に着けてしまうことです。
自分で判断ができれば、少なくとも効果があるかどうかわからないという不安感はなくなるので、物事が大分整理されて理解できるようになってきます。
そのためにおすすめなのが、技術としての体との対話、具体的には動診を習慣化することです。
動診というのは、以前紹介した操体法で、体操を実施する前後におこなう検査法のことです。
前後、左右(側屈、回旋)の動きを確認した際に、その前後差、左右差を自身の感覚で判別していきます。
まずは、動かしやすさ、突っ張り感、詰まり感、痛み、違和感、気持ちよさ、などを感じていきます。
操体法に限らず、何らかのセルフケアを実践する前後にこの動診をおこなうようにして、術前術後でその変化を観察するのです。
実はこの動診に代表されるような検査、観察こそが、あらゆるケアの効果を高める鍵でありコツであると、私自身は感じています。
ぶっちゃけ、セルフケア自体は何でもいい。
観察の結果、術後によい変化があれば、少なくとも悪い方向へは行っていないと判断できるわけです。
この繰り返しができるかどうか。セルフケアの成否はここにかかっています。
あらゆる技術は練習を重ねることで上手くなります。動診も例外ではありません。
一つ簡単な動診とセルフケアの練習法を紹介します。
朝目が覚めて体を起こしたら、首を左右に振り向く動きを丁寧におこなって、その左右差を感じます。動診です。
次に、少し姿勢を整えてから、もう一度動診をおこないます。
左右差に変化があったでしょうか?
次に、胸を膨らます感じに鼻から息を大きく吸って吐きます。深呼吸です。3回くらいおこないましょう。
それから再度動診をおこないます。
変化はいかがだったでしょうか?
丁寧な体との対話を繰り返すことで、体のリアクションは早まり、かつダイナミックなものになってきます。
その経験から得られる体すなわち自己への信頼感、安心感は、他では得難いものがあります。
ぜひ、根気強く実践していただきたいです。